元いじめっ子の懺悔ブログ

元いじめっ子が過去の出来事を、面白おかしく懺悔するブログです

第4話"いじめられっ子を助けた話"

悪人でも一瞬の気の迷いで人助けをする一例として、この話を紹介したいと思います。
 
 
保育所時代の話
 
私の地域は漁師町の中で、さらに海沿いの場所でしたので
子どもたちの遊び場は駄菓子屋以外では、"はま"で遊ぶというのが定番でした。
ドラえもんでいう、ドカンのある広場)
 
はま、といっても船着き場周辺のことです。
地面はアスファルトで、ちょっといくと漁師の納屋が
あちこち密集していて、その間の狭い道が迷路のように
なっており、遊ぶのには最適の場所です。
そこで、ドロタン(全国的にはケイドロ?)や鬼ごっこ
かくれんぼや缶けりをしたりするのが一般的でした。
 
私は缶けりがどうしても苦手で、よく遊びながら泣いていた記憶があります。
 
鬼になって、友だちを探して、見つけたら

「み~つけた!」
 
と言って、置いてある空き缶を踏むのですが
小さい頃、とてもどんくさかった私は
見つける前に缶を蹴られたり(一からやり直し)
見つけた後の缶を踏むとき、缶をこかしたり、、、
 
 
さておき、今回の本題ですが
そんな、遊び場に新しい仲間が入ってきました。
最近、近所に引っ越してきた女の子です。
その子は保育所年少組くらいの子で
見た目的には特にいじめられるような要素はなかったのですが、、、
 
ある時、いつものはまで、近所の子と遊んでいたら
その子がやってきました。
その時、遊んでいたメンバーは

小3くらいの女子:リーダー的存在、性格悪い
その弟:私と同じ年くらい、お調子者
他の子たち:記憶にない
 
の5~6人くらいだったと思います。
遊んでいたリーダー女子がその子に
 
「名前なんていうの?」
 
と聞いても返事をしません。
 
「どこからきたの?」
 
と、聞いても表情を変えるだけで相変わらず返事をしませんでした。
のちに知ったのですが、両親が聴覚に障害のある方で、その子も
そんな両親の元で育ってきたせいか、言葉を話すことが
できなかったのです。
 
そんな子に対し、物珍しさもあったのでしょうが
小3の女の子が、女子特有の陰湿ないじめを始めました。
最初に、私たちは優しいんだよ、と餌付けをし始めます。
いじめっ子の家は近くにあったので、一旦家に帰り
お菓子を持ってきます。
どうみても、賞味期限切れの、、、
それを、女の子に食べさせていました。
いじめっ子は
 
「どう?おいしい?」
 
と聞いていました。
女の子は、黙ってこくんとうなずきます。
味をしめたいじめっ子は、さらにひどい事を思いつきます。
今度はあめ玉をもってきました。
 
(あめ玉で、何をするんだろう?)
 
と、みていたら、いじめっ子は私の方へやってきました。
 
「これにおしっこかけてきて。」
 
なんと、おしっこつきのあめ玉を食べさるつもりのようです。
私も、いやだなぁと思いましたが
年上のその子の命令を聞かないわけにはいきません。
(大人になって考えてみたら、飴に水をつけるなど
回避できる方法はいくらでもあったと思いますが)

私の家も近所にあったので、いじめっ子にもらった飴をもって
一旦家に帰ります。
 
(でも、どうやっておしっこをかけよう)
 
と、子供ながらに考えて、実行した方法は
 
家の玄関でおしっこをかける
 
という方法でした。
なぜか、トイレでかけることがとても汚いことだと思ったのでしょう。
あと、外でやるのは恥ずかしい。
また、地面に置くとあめ玉が汚れる、という考えが
頭をよぎり、以下の方法で実行しました。
 
玄関に入ってすぐのスペースでおちんちんをだす。
片手であめ玉をもつ(人差し指と親指の指二本で)
もう片方の手で、おちんちんをもつ。
狙いを定める。
発射。
 
しかし、手に当たるだけで、なかなかうまくあめ玉に当たりません。
ちょろちょろ出しを何度か繰り返し、ようやくあめ玉にヒットしました。
そして、みんなが遊んでいる場所に戻ります。
いじめっ子が
 
「どう?ちゃんとおしっこかけてきた?」
 
私は黙ってうなずきました。
いじめっ子は、あめ玉をみてちゃんと濡れていることを確認すると
弟にあの女の子を呼ぶよう伝えます。
そして、すぐに女の子が連れて来られました。
いじめっ子はにっこり笑って
 
「このあめ玉、あなたにあげる。」
 
と、私のもっているあめ玉を指さして言いました。
私は女の子にあめ玉を差し出すと、女の子は
なんの疑問も抱かずあめ玉を口の中に入れました。
いじめっ子は、にやにやしながら女の子に
 
「おいしいでしょ?」
 
と聞いています。
女の子は、またこくんとうなずきます。
そんな感じで、いじめはどんどんエスカレートしていきました。
 
はまに行く途中にある防波堤でのことです。
その防波堤はそんなに高さもなく、小学生くらいなら
登り下りが簡単にできます。
ですが、小さい女の子では登ることも下りることもできません。
 
そこで、いじめっ子が思いついたのが
その子を登らせてから全員が家に帰る
といういじめでした。
 
古い防波堤だったので、所々足を引っかける部分があり
そこに足をかけるように指示しながらいじめっ子が女の子を登らせます。
また、弟が上から手を差し伸べ、ようやく小さな女の子は
防波堤の上に登ることが出来ました。
登ったのを確認すると、いじめっ子は
 
「みんな、おりて!」
 
上にいた子たちは、合図をうけると一斉に飛び下りました。
 
残された女の子。
 
ただ、みんなを見つめるだけで
声にだすことも、泣くこともしません。
いじめっ子は
 
「よし、みんなかえろう!」
 
と、言います。
私が、その場に立ちすくんでいると
気に入らないのか、私にちゃんと家に帰るよう言ってきます。
言い返すことができなかった私は、その子のことが気になりながらも家に帰りました。
帰り際、いじめっ子をみると、満足そうに家に帰っているようでした。
 
 
家に帰った後も、どうしても気になって仕方ない私は
再びあの防波堤へ戻ります。
ついてみると、遊んでいる子は誰もおらず
防波堤の上で女の子がただ一人
ぽつんと突っ立っているだけでした。
 
私は、その子のすぐ近くまで行き
 
「おりておいで」
 
と、目いっぱい両手を広げました。
その子はニコッと笑って、私に身体を
あずけるように防波堤の上から飛び込んできました。
しっかり、女の子を受け止めた私は
その子を家まで見送り、少し誇らしげに家路についたのでした。
 
 
 
以上です。

特にオチも何もない話ですが、なんとなく印象に残っていた
話だったので紹介させていただきました。
 
根っからの悪人はそうそういない、と私は思います。
飴ちゃんの件は、愛嬌ということでお許しください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。