元いじめっ子の懺悔ブログ

元いじめっ子が過去の出来事を、面白おかしく懺悔するブログです

第5話"ドッジボール"事件

この話は、元いじめっ子の私でも、時折
 
「あの子、トラウマになってないだろうか?」
 
と、成人した後もしばしば思い出してしまう位
けっこうなことをしてしまった話です。
 
 
小学校4年生の時の話です。
 
 
その前に、同窓会で出会ったゆうこさんの事を書きたいと思います。
私は、成人してから、というか中学を卒業してから30歳になるまで
(嫁・子供ができるまで)
地元にはほとんど帰っておらず、県外を転々としていました。
なので、15年振りに地元に帰ってきて同窓会の通知をみると
 
一度参加してみよう!
 
と思い立ちました。
こう見えて、私も今までの自分の行いは十分承知していますので
ある程度のことは覚悟して同窓会にいきました。
ですが、そこはさすが同窓会、予想外に友人と昔話に花が咲く咲く。
 
あぼちゃん!ひさしぶりやな!
 
おうっ!ひさしぶり!
 
クボケン!元気してたか?
 
おう、何とか生きとるわ。
 
おい、クボケン!あそこのエーちゃんに話しかけたら、なんか態度がよそよそしいわ。
 
そら、お前あいつのこと昔散々いじめとったやん。
 
とまぁ、元いじめっ子らしい会話でしたが、、、なんか同窓会はいいですね。
そんな感じで楽しくお酒を飲んでいたら
別の席にいたゆうこさんが私の席に移動してきました。
そして、開口一番
 
「武始君にどうしても言いたかったことがあるんよ」
 
と言ってきました。
 
私は
 
(もしかして、昔のことを恨んで何か言ってくるのでは?)

と内心ドキドキしていました。
 
その昔のこととは、、、
 
なぜ、そんなことになったのか全く覚えていないのですが
ある日の学校で、私はゆうこさんを執拗なまでに追いかけ回していました。
 
捕まえて、ボコボコにしてやる!
 
と、なぜか泣きながら全力で追いかけていました。
ゆうこさんは、最初からずっと泣き続けていたと記憶しています。
 
学校の廊下で
 
必死の形相で
 
泣きながら
 
大声でわめきながら
 
追いかけまわす。
 
まわりの子たちも、私のいつも以上に異常な状態を察知したのか
すぐに先生を呼びます。
 
記憶にあるのは、散々追いかけまわした挙句
あとちょっとのところで、先生に押さえ込まれたこと。
 
最初に女の若い先生が私を抑え込もうとしたが
私のわんぱくパワーを抑え込めるわけもなく
私はその先生を振り払い、さらに追いかけようとする。
その後、もう一人男の先生がやってきて一緒に抑え込む。
さすがに、二人がかりでは前に進むこともできず
その場に押え込まれる。
(その時点で、ゆうこさんは腰を抜かし、私の前でボロ泣き状態です。)
ただ、その時の私は、鬼気迫る形相で這いつくばりながらも
じりじりと、その子のほうへ進もうとしています。
その後、さらにもう一人の先生が私に覆いかぶさります。
三人がかりで押え込まれた私は、さすがにピクリとも動くことができませんでした。

ですが、その時の私は
 
つかまえて、ぶちのめす
 
の、一点の曇りもない純粋な思いだったので
そんな状態でも諦めることはしませんでした。
先生に取り押さえられた時点で、場所は教室内だったと思います。
その時の状況は
 
教室内、窓の向こうにも多数のギャラリー
腰を抜かし、ボロ泣きする女の子
必死で私の動きを抑える先生たち
そんな絶望的な状況でも鬼の形相で女の子を睨む私
 
もうすでに給食の時間でしたが
そんな膠着状態が十数分、続いたと思います。
 
極度の興奮状態にあった私ですが、さすがに
時間の経過とともに冷静さを取り戻しつつありました。
ですが、サービス精神旺盛な私は
周りのギャラリーの目もあって
いきなり、やーめたとすることもできず。
演者のように、その後はなんとなく惰性でその子に向かっていたような気がします。
 
 
そこで父親登場です。
 
その当時は、よく親父が学校に呼び出されていました。
父親登場というきっかけをもらった私は
そのチャンスを生かし、追いかけるのをやめることができました。
 
そんなわけで、騒動は収まりましたが
先生たちは、いつ私が再びあの子を追いかけまわすかわからん
と思ったのか、その日は教頭先生、担任の先生、親父に囲まれて
一人視聴覚室で給食を食べました。
勿論、給食を食べた後、その日は親父とともに家に強制送還です。
 

話を戻します。
同窓会の席で、いきなり私にカミングアウトを始めるゆうこさん
話を聞くと、やはりこの一件のことでした。
 
(あ~、ごめんなさい)
 
と、いつでもあやまる準備は出来ていたのですが
話は以外な方向に進みます。
 
「あの時、ほんまぶつけてごめん」
 

・・・えっ!!??
 

何のことか理解できません。
話をよくよく聞いてみると
あの、追いかけ回し事件の発端は
その日の体育の授業中に起きたんだそうです。
 
その日の体育の授業はドッジボール
で、ゆうこさんは私にボールをぶつけたのだそうです。
当時極端に負けず嫌いだった私は
男子の中でもドッジボールに対するこだわりが強く
そんな私が
 
"女子にボールをぶつけられた"
 
という現実を受け止められず
狂ったようにゆうこさんを追いかけ回した
、、、らしいです。
 
そんな感じで、ゆうこさんは
 
「あのときのこと、武志君にあったら絶対あやまろうと思ってたんよ!」
「プライドを傷つけて、ほんとうにごめんね!」
 
と、ようやく気持ちを伝えられた安堵感に浸りながら
彼女は私にそのことを告げたのです。
 
 
・・・記憶って面白いですね。
 
加害者と思っていた精神障害の私に、逆に謝罪をする被害者女性。
狐につままれたような感覚で、彼女の話を聞いていた私は
 
い、いいよ!全然そんなこと!そんな全然気にしてないから!
俺もごめんな!
 
と、返すのが精一杯でした。
 
 
以上です。
 
本当、人の記憶ってその時の印象が段々強まるのか
私=散々追いかけ回して相手を追い詰めたことが強く記憶に残る
ゆうこさん=事の発端になったドッジボールでの出来事で
相手の心に傷をつけたことが強く記憶に残る
という二人が、奇跡的なシンクロをしたお話でした。
 
最後まで読んでいただきありがとうございました。